ニューヨーカーの息子に、ドラッグについて話し合ったこと。
ママ友がInstagramのストーリーにシェアしたリンクを観たのは、2年前のこと。
14歳になったばかりの女の子、サシャが死んだ。それもドラッグで、だ。
How did she die?
この話を簡単にまとめると、14歳になったばかりの女の子、サシャが死んだ。
フェタンニルという薬がドリンクに混ぜられていてそれを飲んで死んでしまった。それもたった1滴で。
別に不良でもなんでもない。母親によると……
- 彼女は聡明だった:市内で優秀な高校に入学し、1年生になったばかりだった。
- 彼女は優しかった:動物や人々、虐待や不当に扱われたりホームレスなどに心を割いていた。ホワイトハウスに手紙を書き、バイデン政権から返信を受けたっとこともある。
- 彼女はスポーツが得意だった:陸上や水泳、球技など、関わったコーチたちは彼女の才能を認めていた。
- 彼女は愛嬌のある性格だった:友人たちからとても愛されていて、思いやりがあり、気さくな人柄で多くの人にとって太陽の光のような存在だった。
そんな彼女だったのに、なぜ死んでしまったの?
と母親は嘆いている。
家族とは一緒に旅行に出かけたり、コミュニケーションもよく取れていたようだし、映画で見るような「幸せそうな家族」。
もちろんティーンになればホルモンのバランスが崩れるのは当たり前のことで、誰しもが「思春期」になる。
家族も13歳を過ぎた頃からティーン(思春期)特有の浮き沈みや無気力の変化に気づいていたけれど、それも成長の段階だと思って距離をおいていたそうだ。
でも、それがよくなかったのかも、と書いてある。
きっとこの家族もいろんなことを調べたんじゃないかと思う。
日本同様アメリカでも思春期に関する本ってたくさん出ていて、アメリカ在住のお母さんたちと、アメリカ人が書いたティーンに対応の仕方が書かれている本をもとに勉強会をしたくらいですから!
ああ! 確かドラッグとの付き合い方の章もあった!
思春期って、本当に厄介じゃないですか。
「自分のわけわからない感情を向き合ってもがきながら成長していく時期」と言われてもサ、今どきの子って、自分たちの時代よりももっと大変なんじゃないの? と思ってしまう。
抗えないエネルギーとか、不安とか、どうやって付き合っていくんだろう。

今ではニューヨーク生活を謳歌している甥っ子が、思春期のころにいろいろとありまして、15歳の夏にニューヨークで3か月ほど預かったんですわ。
そのときに
ねえねえ、盗んだバイクで走り出したくなっちゃわないの?
尾崎世代のオカンとしては、ちょっと気になって訊いてみたら、こんな返事をいただきましたよ。
そんなことやったら警察につかまりますよ。
甥よ、あんたはなんでそんなに冷静なんだ!
昔だとエネルギーを発散する場があったと思うけれど、今どきはそんなにないような気がする。
得にニューヨークではね、夜中に一人で歩くのは危ないし。
夜の公園も何が起こるかわからないし(高確率で殺される)。
振り返れば、息子も中学時代、不安定で大変だった。
サシャがドラッグに手を出したのが13歳のころだったようだけど、ちょうど中学から高校に移行する時期。
はい、アメリカでは13歳14歳のころが高校1年生になるんですわ。
このプレッシャーが半端ないんですよ。
息子が中3になったばかりの新学期9月(アメリカは9月始まり)。
高校の申請を12月の第一月曜日までにしなきゃいけないので、9月下旬頃から高校見学が始まる。
といっても、どこの高校に行かせたらいいのかさーっぱりわからんのです。
だってね、小学校中学校ってこの範囲内の学校しか行かせたらいかんですよーってめっちゃ厳しいのに、高校は範囲ないからね〜、お好きなところへどうぞ、なんですよ。
今までは地元の小さな池で遊ばされていたのに、いきなり大海に放り出される感じ。わかります?
息子を無理やり連れて行った高校見学も「企業のプレゼンですか?」というくらい、この高校に入ったら◯◯大学に入れる実績がある、ニューヨーク州内で高校成績が上から何番目だ。とか、そんなことばかり。
13歳ですよ、13歳。
あなたは何を考えていましたか?
オカンは少女マンガ家になることしか考えていませんでしたよ!
大学とか銀河の遥か彼方だったし、え? 今すぐ将来を決めろって無理ゲーでは?!
それもやはり有名な大学に入れた実績があると、教育委員会から予算でも降りるのかな。
大学受験の年になると朝の7時から授業をするとか(0時限だって言っていたな、そういえば)。
それを聞いて目をギラギラさせていた周りのお母さんたちの顔、忘れられないわ。
息子は小学2年生の頃から通っていた小学校が提携していたカウンセラーの人にカウンセリングを毎週受けていた。
「13歳のときから、どこの大学に行くのかとか、将来何になりたいって決めていたの?」と、息子のカウンセラーのミゲールに訊いたことがある。
本来であれば小学校を卒業したらカウンセリングは受けられないのだけど、好意に甘えてファミリーカウンセリングを月2回くらいのペースで受けていたのときに訊いてみたのだ。
「そうだね、決めていたよ、13歳のときには」
ほー……さすがハーバード大学出身の方は違う! と妙に納得したのを覚えていますな。
オカンなんてこの高校関連でメンタルやられて白髪ごっそり増やしたっていうのに。
そんな大変な思いをしてまで高校生になったというのに、なぜ死んでしまったのか……
いたたまれなくなって、当時17歳だった息子に読んでもらった。
どう思うのかと思って。
「よくあることだよ」
とさらりと息子は言った。
「でもこの子、運が悪かったね」
とも付け加えて。
その瞬間、背中が ひゅつ と冷たくなった。

息子が高校生になる前から、ママ友たちとの会話に「ドラッグ」がよく出てくるようになった。
本当に今までそんな話題はまったく出てこなかったのに、マリファナグミやマリファナクッキーを食べて中毒になって人生がおかしくなるという話(噂)がいきなり子育てコンテンツのトップに躍り出てくるのだ。
1)息子くんがマリファナ中毒になって、他州の全寮制の学校に転校
2)いわゆる有名学校は学業が厳しいので、精神的に参ってしまうのを逃れるために親公認でドラッグをやっている
⇑補足:どこかでオーバードーズ(過剰摂取)で救急車に運ばれてしまっては困るから、家でドラッグパーティーを開催。何かあったときには自分で連絡をしたい➠両親はウォールストリートなどで働いているお金持ち。郊外でもよくある話らしい。
3)ニューヨーク市の成績のよい公立学校のそばにあるデリ(コンビニ的なお店)でドラッグが売っている(公然なる秘密。みな目をつぶっている)
ニューヨーク州では2021年の3月にマリファナが合法化されたけれど、体感として2023年くらいまでは許可店舗がなかったような気がする。
息子が高校生になったは2020年の9月。
このサシャの話を聞いたのは2024年の頃。合法化されていますね。
ちなみに上であげた例は、コンプラ的に難しいんだけれど、あえていうのであれば「白い」人たちでお金がある人たちのお話。
アメリカ全土の有名私立学校で成績の良い学校のトップ10のうち5校がニューヨーク市にあるといわれていまして、そこの学校の生徒たちの多くがドラッグをやっている話は噂でよく聞いていたし(いじめとか、けっこうエグい話も聞いた)、自殺が多いということも聞いていた。
他の見方をしたら、ドラッグをやらなきゃ「自分自身が保てない」くらいハードな学校生活でプレッシャーも半端なかったのではないだろうか。
とはいえ、なんで家族はサシャがドラッグやっていたのを「わからなかったの?」と正直思ったんだけれど、息子の周りのクラスメイトやホッケー仲間はどうなのか訊いてみた。
「みんなやっているよ」
と、さも当たり前のように言う。
は?
ちょっとまったー!!!
みんなって誰よ!?
◯◯はやっていないよ(仲良し幼馴染)、△△はやっているよ(これまた幼馴染。親が知ったらキレるでしょー!)。と、さらっと教えてくれた。
ほえ〜そんなにやっているんだ……と密かにショックを受けたオカン。
息子とドラッグに関しておおっぴらに話し合える関係でいられる自分を勝手に誇りに思っているんだけれど、と同時にそんなにドラッグが高校生の生活の中に入り込んでいることが衝撃的。
いや、正直「わかっていた」とはいえね。だって噂では聞いていたから。
息子いわく、TikTokで「ニューヨークのここで買えるよ、ドラッグ」広告が出ていることも教えてくれた。
サシャのお母さんが書いた手記の中にも
多くのティーンエイジャーと話をしてわかったのですが、普通の子どもでも、早ければ中学校の始まりにはすでに大麻やアルコールに触れたり、試したりしているようです。
高校生になれば、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)を売る売人を見つけるのは簡単だと聞きました。
売人たちは学校の周辺をうろつき、SNSで薬物を宣伝し、チラシを配っています。
薬物の売人は、子どもたちの仲間や同級生、友人であることもあります。
売人の目的はより多くの人を薬物漬けにして利益を上げることです。
とはいえ、ティーンエイジャーはどこまでいってもティーンエイジャーです。反抗的で、好奇心旺盛で、「カッコよく」なりたいのです。
TikTokのようなSNSには、たくさんの「カッコいい」ロールモデルが存在し、その多くが未成年の視聴者に誤ったメッセージを送っています。
ティーンエイジャーたちは、飲酒、電子タバコ、喫煙、錠剤の服用が「普通のこと」として描かれている動画を共有しています。
怖すぎる。
でも現実に起こっていること。
インタネットとSNSのおかげで、親がまったく関与できない時限に言ってしまった……といっても過言ではない世界のお話ではないのか?
まさに未知との遭遇の世界。

だけど、ドラッグを「やる」子どもと「やらない」子どもの境界線って、なんだろう?
息子に聞いてみても「よくわからない」と言っていた。
息子はオカンのアルコールの失態を見ているので「ぼくはアルコールもタバコもドラッグもやらない」と力強く宣言しているので、よほどのことがない限りやらないと思う。
それにもしもやるのであれば、実は家族のように仲良しな日本人夫婦がいまして(ここももはや幼馴染家族だ)、彼らはハード以外のドラッグをやっている。
すごーく気持ちいい人たちで、オカンも息子も大好きな人たちだ。
彼らと一緒にドラッグ(マリファナですな)をやって欲しい。
そこで取り扱い方を学んで欲しいのだ。
ちなみにこの話を彼らにしたら「20年くらい前と違ってドラッグの種類が増えている!」とのこと。
この話を聞いたときも、背中がひゅっと寒くなりました。
正直いうと、もう親は「昔のようなやり方」で子どもを管理することはできないと思うし、これからももっと増えていくと思う。
だって20年前なんてこんなにSNSが活発じゃなかったし、オンラインゲームでの詐欺とかいろいろと出てきているし。
個人的にはドラッグに興味のなり息子には感謝しかない。
大当たり! って感じ?
反抗期は大変だったけれど、でも「大当たり」。
オンラインゲームだって友達と幼馴染としかチーム組まないし。知らない人はヤバいから絶対に組まないと決めている。
だけどさ、サシャのご両親だって「娘は大当たり!」だと思っていたと思うんだよね。
成績優秀でスポーツ万能。ホワイトハウスから返信まで来ちゃう。
将来はどんなふうになるのか、そりゃすごく楽しみにしていらっしゃったと思う。
まさかドラッグ関連で14歳で亡くなるんなんて想像すらしていなかったと思う。
だからこその衝撃で、このことを書かれたんだと思う。
じゃあ、どうしたらいいの?
となるんですが、これもう、まずは親である私たちがドラッグについての知識を入れていくしかないと思う。
その中で、子どもが興味を持ったら頭ごなしに否定するのではなくて「興味あるんだね」って受け入れる……
って、さあ!
頭ごなしに否定しない
とか
受け入れる
って育児本によく書かれているけれど、そんな簡単にできてりゃこんなにも苦労しないよね!?
それも命を落とすかもしれないドラッグの話でっせ????
どんな対策をしたらいいのかは、正直わかりまへん。
ただ言えることは、本当に普段からコミュニケーションを取ることです。
そして少しでも変化があったら「いやだったらいやだって言ってね」と、親が気になることを伝えていくしかもうないんじゃないのかな、と思う。
ちなみにこの話を聞いてから2年の歳月が経っている。
きっとこの頃よりも、もっとすごいことが起こっていると思う。
我々親ができることは、子どもにとって「安心できる場」でいるしかない。
とはいえ、「安心できる場でいるしかない」をどうやってその場を作ったらいいのかわからないと思うんですわ。
そんなママさん、一緒に考えませんか。
あなたのタイミングで、どうぞ。
